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知人が最近この本を読み始めたという話をしていたので、僕も久々に読み返してみた。

「みんないってしまう」は山本文緒と出会った記念すべき一冊だ。
書店で本を探していて偶然に見つけたのがこの本であり、
そこから彼女にのめり込んで行ったのである。

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「対象喪失」というのがこの短編集のテーマだそうだ。
その人にとっての大切なものを失うことや別れを意味する心理学・精神分析学の言葉らしい。
よって、この本もそれぞれ日常的な何かとの別れを描いている。
ただし全編、特に捻っているわけでもなく、
自分の周りでもそこいらでも良くあるような話に感じるのだが、
それは書き方がうまいからだろう。
読者によって、その結末やその後が決められていく物語ばかりであると思う。

特に好きなのが「ドーナッツ・リング」。
僕は結婚して十五年の妻子ある編集者では無いのだが、
何だかこの主人公に心情移入してしまったのだ。
今回読み返してみても、そのときに感じたことは変わらず…であった。

「ハムスター」の展開も凄い。
タイトルからはまったく予想も想像もできない物語である。

ちなみに、この本を読んだ後、僕はそのテーマである「対象喪失」に興味を持ち、
それに関する本まで買ってしまった。

「みんないってしまう」は、
ブラック・ティー」「絶対泣かない」に続く本格的な短編集としての三作目のようだが、
こういった初期の作品群だからこその魅力に溢れた物語である。
後のうまくなった彼女の作品よりも、ラフ?な初期作品のほうが刺激的で面白い。


山本 文緒 / 角川書店(1999/06)
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