FC2ブログ
仮に、どこかに今の自分と反対の生活をしている別の自分が居て、
その人と入れ替わることができたら…。

その自分は、今の自分からいちばん遠い生活をしている。
要するに今の自分と正反対なのである。
更にその自分は今の自分が嫌いで苦手なタイプであり、
自分ができないこと、やらないことをやっている人である。
高校から大学、そして就職まで、所謂普通の人生を歩んで、
現在は結婚もしており、小学校六年生くらいの子供が一人。

このように自分が選ばなかった(選べなかった)もうひとつの道を知ることができたら…。

誰もが夢見る(のかな?)もうひとつの人生の明と暗。
単純にそんなことを読んだ後に考える物語。

  結婚六年目の主人公「蒼子」は年下の不倫相手との旅行中。
  その旅行先で昔の恋人の姿を偶然に見かける。
  昔の恋人「河見」は結婚していたのだが、
  その相手と言うのが蒼子に瓜二つだった。
  二人の蒼子はお互いにもうひとつの人生を、
  と言うことで入れ替わることを決意し実行する…。

小説でしかあり得ないストーリー展開だが、テーマはドッペルゲンガー。
実は自分とそっくりな相手というのは、自分自身でもあるのだ。

CIMG4772.jpg
帯には赤川二郎による「ホラーより怖いファンタジーである」というコピー。
文庫の解説には「これは恐い小説と感じた」とある。
しかし別の人に「これは結婚小説と言われた」という話も書かれてあった。

当たり前だ。
読む人によって感じ方が違うから山本文緒は面白いのである。

ラストシーン。
蒼子から届いた手紙を蒼子が読んで終わるのだが、
こういう余韻が残るような書き方が凄く好きなので、最後は切なくも爽やかである。

ちなみに僕は観ていないのだが、この小説はNHKでドラマ化されている。
蒼子を演じたのは稲森いずみ。
同じように山本文緒作品は「群青の夜の羽毛布」が映画化されている。
ここでの本上まなみがとても素敵で良かったのだが、
稲森いずみもイメージとしては蒼子に合っていそうだ。観てみたい。


山本 文緒 / 角川書店(1996/05)
Amazonランキング:40158位
Amazonおすすめ度:

関連記事
スポンサーサイト



Secret

TrackBackURL
→http://blue1981.blog16.fc2.com/tb.php/62-47299e1a