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恋愛小説を読みたくなった。
ただし、ヘヴィなもの。
例えば川上弘美の『センセイの鞄』のように読み終えて恋がしたくなるような本ではなく、
ドロドロと地を這うような物語が欲しかった。
そんな気分で本を探していて、書店でピーンときて手にしたのがこれ、だ。

失恋した三十代の女性の絶望から再生までが描かれる。
もちろん僕には女性側の心理はわからないのだが、
この物語での心理描写はかなりリアルなんじゃないかな。
失恋した際の心や精神の動きは、そりゃ男女での違いはあるだろうけれど、
これを読むと思うほどに差は無いような気がする。

浮気などハッキリした理由でない限り、
別れるということはどちらかが悪いと言うようなものではないかもしれないが、
主人公のような精神状態になってしまうことに、少なくとも僕は共感できてしまう。
ストーカーまがいの犯罪的行為には同調できないけれど。

何人かの登場人物がいるが、あくまでも主人公の精神状態を中心に物語は進んでいく。
軸もぶれないので、読者の中には心情移入してしまう人は多いかもしれない。
特に失恋したばかりの人には、いろいろな意味でキツイ小説かも。

小説なので、やはり最後はそれらしい話のまとまり方…って気がしないでもないが、
主人公以外の登場人物のスパイス的な使い方は凄くうまいなぁと思った。
スパイス的と書いたけれど、実は主人公以外の全員がこの小説では重要人物なのである。

ラストに向かって主人公が立ち直っていく様子は、
変な表現だけど、まるで推理小説を読んでいるような…、
何だかどんどんと種明かしをされているような感覚を覚えた。
話だけならばドロドロでヘヴィな内容ではある。
でも、一気にスカッと読めた小説だった。

「ハッピーエンドじゃないハッピーエンド」というものもあるのだなぁ。
何だか気持ちいい(笑)。


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