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きっかけは吉田秋生の傑作漫画「吉祥天女」であった。
ちなみに「吉祥天女」というのは、現時点での僕にとってのベスト1の漫画である。
吉田秋生には「BANANA FISH」という大傑作があり、これは僕も当然大好きである。
しかし、あなたにとってのベスト1の漫画は?という質問に対しては、
手塚治虫や浦沢直樹の一連の漫画、
そして「あしたのジョー」なんかを思い浮かべながらも、
僕はこの漫画、「吉祥天女」をベスト1に選ぶだろう。
当分、この先もこれが変わることは無さそうだ。
「吉祥天女」については、またいつか書いてみたい。

話がそれたが、「吉祥天女」がきっかけと言っても、その主人公の名前が同じと言うだけで、
この小説と関連することは何も無いのである。
しかし " 小夜子 " のインパクトは強烈だった。

出会いは地元の書店。
何故この本が平積みされていたのかはわからない。
何てったって作者の92年のデビュー作である。
今更どうして?だけれど、まずそのタイトルに惹かれた。
「吉祥天女」の小夜子と同じ名前だ。しかも " 六番目 " だという。
興味を持つのは必然であった。
しかし出会いはまったくの偶然であり、直感でもあった。
でも、こういう出会いの小説は、だいたい当たりである。

ある高校に昔から伝わるゲーム…と呼ぶには奇妙なしきたり…伝説がある。
三年に一度《サヨコ》と呼ばれる生徒が、誰にも知られずに選ばれる。
選ぶのはもちろん前回の《サヨコ》である。
その《サヨコ》の卒業式の日に在校生に引き継がれる。
要するに《サヨコ》から《サヨコ》へと、代々引き継がれていくのだ。
《サヨコ》の正体は、もちろんその年の《サヨコ》と前回の《サヨコ》しか知らないし、
その《サヨコ》同士もお互いのことはわからない。
そして《サヨコ》のすることはただひとつ。
これさえ、そのことさえ誰にも知られずにやり遂げられれば、
その年の《サヨコ》の勝ちである…。

という設定からして最高であった。
特に冒頭のプロローグを読んだだけで、僕は興奮していた。

基本的には学園小説であるのだが、
ちょっとしたダーティーな風味が施され、そこに《サヨコ》伝説が絡む。

特に中盤の学園祭のシーンが素晴らしい。
全校生徒が真っ暗闇の体育館に集まり、一言ずつのセリフを発しながら進んでいく劇。
その劇のタイトルが " 六番目の小夜子 "。
BGMはエリック・サティのジムノペディである。
このシーンは読んでいて本当に興奮した。
このテンションで最後まで書かれていれば、
そしてホラーやミステリー風味で進んでいれば、
間違いなく僕にとっての最高傑作になる可能性があったと思う。
この学園祭のシーンは、実際に「吉祥天女」に近いものが感じられたのだが、
結局は学園小説にまた戻っていってしまうのだ。
僕にとっては、残念な展開だった。ただ、それはそれで正解だろう。
もし、あのままの感じで進んでいけば、
話が収拾がつかなくなってしまうことも考えられる。
しかし、そういうぶっ飛んでいく流れのままで書かれたものを読んでみたかった…と思う。

いずれにしてもエンターテインメントものとしては、最高のもののひとつであろう。
お薦めだ。


恩田 陸 / 新潮社(2001/01)
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