三億円事件の犯人が書いたノンフィクション?
しかもその犯人は女子高生なのである。
著者の城真琴のプロフィールには「省略」と書かれている。
この物語の主人公の名前は城真琴。
要するに本を読めばわかるということだろう。
新宿のジャズ喫茶Bから始まる物語。1965年。
この小説は、
60年代の新宿を実際に体験してみたかったと僕に思わせてくれるものの一つである。
元々は、僕は三億円事件についての興味でこの本を手にしたのだが、
事件のことはひとつの要素に過ぎず、何とも痛みに近い切なさを感じる小説であった。
フィクションでもノンフィクションでも、どうでもいい。
素敵な話である。
純な恋心。読む前に持っていたイメージとはまったく逆の印象。
ある意味、恋愛小説と言って良いと思うのだが、あえて言えば恋愛というよりも青春小説。
結果として真琴の成長が描かれていると思うから。
少年、少女が何かを捨てて大人になるとしたら、それは未来や過去ではない。
むしろ、彼らは未来と過去を手に入れて大人になるのだ。
想い出という過去と、責任という未来を。
その時失われるもの、それは青春と言う名の現在だ。未来に引っ張られたり、
過去に引きずられたりしながらも現在を生きている僕は、まだ大人ではなく、
青春の中にいるのかもしれない。
でも、その春の色は、青ではなく別の色のような気がする。
城 真琴 / 文園社(2000/07)
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中原みすず「初恋」です。かなり感動てきな映画になっていました。試写が当たって観ました。