FC2ブログ
当然だが、あくまでも小説として読んだ。

いじめをテーマにした7人の作家による短編集。
テーマがテーマだし、当たり前だがプロが書いているので、
小説だが人によってはノンフィクションを読んでいると錯覚してしまうかもしれない。
読んだ感想は決して辛いという印象ばかりではないが、
それでもリアルな描写はさすがにきついし、気持ちが良いものでは無い。

おそらくこの本を読んだ多くの人が似たような思いを持つであろう「亀をいじめる」が凄い。
ここで描かれるのは子供や少年少女のいじめではなく、大人のそれである。
しかも、人間誰もが持っている…とは思わないけれど、何かを踏み外してしまえば、
誰もがこの主人公のようになってしまう可能性があることは否定できない…。
読むとそう感じてしまうということは、この話は小説として優れているんだろうと思った。
繰り返すけれど、これは小説なのだ。

江國香織の「緑の猫」も印象に残る短編。
壊れていく主人公がなりたいものとして挙げるのが、
「紫の目を持つ緑の猫」というのは尋常ではない。
ただ、この物語はいじめを視点とせずに読むと、また違った世界が現れるような気がする。
事実、彼女の『いつか記憶からこぼれおちるとしても』という女子高生を描いた(?)短編集にも、
この「緑の猫」は収録されているそうだ。
どちらの本で読むかで、その印象はかなり変わりそうな感じである。
こちらも読んでみたくなった。

さて、編集した人は意識していると思うが、
この本は最後に収録された「かかしの旅」があるか無いかではまったく違ってくるだろう。
この作品で終わることで、ホッとした読者は少なくないに違いない。


江国 香織,角田 光代,稲葉 真弓,野中 柊,湯本 香樹実,大岡 玲,柳 美里
Amazonランキング:135208位
Amazonおすすめ度:

関連記事
スポンサーサイト



Secret

TrackBackURL
→http://blue1981.blog16.fc2.com/tb.php/95-0cd54524