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読み終えてから時間が経っているのだけれど、
ブログではなかなか取り上げられないでいた。

これを読んだ感想をここに書き記しておこう…といった気楽な類のものではない。
読んで感動するのも簡単だ。
実際に感動する。
でも、だから何なんだろう。
被災に遭ったこどもたち80人によって書かれた作文は、作り話では無い。

  私達は校舎の3階ににげました。
  (3月11日の)夜は画用紙一枚でねました。
  とても、寒くて、こわかったです。

こんな一節を前に、何も言葉が出ない。

最後に、この本の企画・取材・構成を担当した森健さんのブログを紹介しておきます。

※「つなみ 被災地のこども80人の作文集」
夏が帰ってきたと感じられた日曜日。
まだまだ明るい夕方の空を見上げていたら、
ふと、昨年に訪れた瀬戸内海の直島のことがアタマに浮かんだ。
アートに彩られた瀬戸内の島々は、きっと夏、真っ盛りだろう。

昨年の丁度今頃である7/19から10/31にかけて、瀬戸内国際芸術祭2010が開催されていた。
このイヴェント開催とは関係なく、以前から直島へ行ってみたかった僕は、
芸術祭が終了する直前に、念願だったその場所へ行くことができた。
旅を計画した時点で芸術祭云々はアタマに無かったが、今となっては、
訪れたのは直島だけだったとは言え、芸術祭期間中に行けた事は良かったと思う。
ピークを過ぎていたとはいえ、かなりの混雑だったことも、今は良い思い出だ。

ということで、今、この本を引っ張り出してページをめくっている。

これは今年の春に出版された、瀬戸内国際芸術祭の全記録集だ。
表紙はプログレッシヴ・ロックのレコード・ジャケット…まるでヒプノシスの世界のようだ。
このままピンク・フロイドのアルバムに使われてもおかしくないのではないか。
でも、これは実際のアート作品なのである。
瀬戸内に行けば、このような景色を実際に観ることができたのである。

この記録集は、もちろん解説なども読み応えもあるが、とにかく多くの写真が楽しい。
直島のページは旅の思い出がよみがえるし、その他の島は訪ねたくなるのはもちろん、
実際にその場にいるような感覚になったりもする。

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1日かけて廻った直島。
こういった旅の楽しみのひとつは、その日だけの友達ができることだ。
目的は一緒だし、島では時間に沿って動くので、同じ場所に同じ人が集うことが多くなる。
当然、何人かと顔なじみになるので、
作品を観るため列に並んでいる最中で、
次の場所へ移動するバスを待つバス停のベンチで…など、
自然と話をするようになる。
観たばかりの作品の感想はもちろん、
他の美術館などのアート作品の情報交換など、とても楽しかった。

いつか再び瀬戸内の島を訪ね、時間を贅沢に使って廻ってみたい。
直島はもちろん、豊島、犬島、女木島…。
東さんは歌人なので、次は歌集を…と思ったけれど、
このデビュー小説が気になったので、入手した。

元々は 『長崎くんの指』 というタイトルで出版されたものが、文庫化の際に改題されたようだ。

6つの短編に、あとがきを兼ねた一編が加わった構成で、
コキリコ・ピクニックランドというさびれた遊園地を舞台にした連作となっている。
連作と言っても、あくまでも舞台が提示されているだけで、それぞれは独立した話として読める。
よって、特に遊園地自体は重要では無い…と言いたいところだが、
もし、それが無かったとしたら、やはり読後の感じ方はずいぶん違っているように思う。

難しい話じゃない。
泣ける話でもない。
感動する話でもない。
楽しい話…でも、ない。

何とも掴み所の無い小説だ。
つまらないということではない。
物語の着地点というか、ゴールがハッキリしないというか、
これは僕自身の感想なのだけれど、後味が無いという感じだろうか。
こんな読後感は初めてかもしれない。

解説を東さんとも交流がある穂村弘さんという方が書いているのだが、
初めて東さんに会ったときの印象は ぽやーんとしたひと だったらしい。
まさに、これだと思った。
この小説から受けたのは、この ぽやーんとした がいちばん合っているように思う。

「アマレット」と「道ばたさん」が良かった。
特に「アマレット」の主人公であるマリアさんは魅力的なキャラクターだ。
ただ、各章に出てくる登場人物は、その全員がなかなか興味深く、
読んでいてちょっと引き込まれたりした。

さて、穂村さんが解説で東さんの歌を紹介しているのだが、これがとてもいい。
詠まれている風景のその先や、彼女の中にある想いを感じ取れるようで、とてもいい。
僕が気に入ったものをいくつか挙げておく。

  とりもどすことのできない風船をああ遠いねえと最後まで見た
  おねがいねって渡されているこの鍵をわたしは失くしてしまう気がする
  怒りつつ洗うお茶わんことごとく割れてさびしい ごめんさびしい

次はやっぱり歌集かな。